ー自分たちで暮らしと地域を創る – きみので暮らそ。

ー自分たちで暮らしと地域を創る

片桐翔太さん(30歳) 祐保さん(27歳) 逢ちゃん(2歳)

海外を旅したのち、紀美野町へ・・・

 翔太さんは大阪で建築系の専門学校を卒業後、3カ月ほど世界へ旅に出ました。その後熊本地震がありボランティア活動をしていた時に祐保さんと出会い、その後オーストラリアや東南アジア各国を二人で巡りました。

 日本へ帰国後に結婚し、理想であった丁寧な暮らしを求め和歌山県へ。紀の川市で住み込み農家バイトをしながら家を探すも、理想の家はなかなか見つからず…。移住検討地を広め2020年に紀美野町へ移住。移住後は愛娘の逢ちゃんに恵まれ、現在は翔太さんがセルフビルドした家で自然と共存しながら生活しています。

移住をきっかけに工務店を起業

 移住前は建築関係の専門学校に通いながら土木や基礎工事等の建築関係アルバイトをされ、東京ではオリンピック選手用トレーニング場の現場監督をしました。その後海外へ渡り、オーストラリアではラーメン屋のアルバイトをしていたことも…。

 紀美野町への移住時に移住仲間から、「古民家を民宿に改装してくれないか」と要望がありました。旅帰りでアルバイト通いだったので金づち一つも持っていない状況でしたが、とりあえずやってみようと取り掛かります。それをきっかけに工務店’’KATAKOTO CRAFTS”を起業。(当時28歳) 古民家の良さを残しつつモダンでオシャレに改装していくセンスは若者にも人気があり、相談が後を絶えません。

katakoto crafts
shared residence Flag

 また、自分の住む地域は平均年齢が80歳という事もあり、将来の自分たち以外誰もいなくなってしまうという不安を解消すべく、2022年11月に築150年の古民家を改修しシェアハウス”Shared Residence Flag”をオープン。シェアハウスの第一居住者はなんと東南アジアを一緒に旅をした友達ご夫婦です。

Flagは英語で”旗”を表します。これから仲間を集めて面白いことをやっていこう!と思った時に、この地域での旗揚げ、旗振り役としての立ち位置になれたらいいなという思いからこの名前に決まりました。

このシェアハウスでは、移住に興味がある人に気軽に田舎体験をしてもらい、そこから紀美野町に定住してもらおうという取り組みをしています。さらにシェアハウスを拠点とし、居住者のみでなく地域のコミュニティースペースとしてこれから機能していくことが目標です。

子供にとって自然の中では無限大の遊びが

 移住地で初めての子育てに挑戦。子供が少ないためご近所も歓迎してくれ、ひ孫のように優しく接してくれます。おさがりの服やおもちゃ、食べ物など地元の方々から沢山譲っていただきました。セルフビルド中は”もらい風呂”をしにご近所を回っていたことも。田舎では人口が少ない分ご近所さんとの関わりが多いため、子供もコミュニケーション上手になるようです。また、子供が遊べる遊び場や公園はとても少ないですが、だからこそ自然の中で自分で考え工夫して遊びます。自然を遊び場にすれば無限大の遊びができます。

 ひとつ心配なのは、周りに子供が少なく家が離れているため気軽に遊びに行けないこと。子供同士のコミュニティーが十分作られていけるのかというところ。その為にもシェアハウスで地域コミュニティーを広め、地域の子供がいつでも遊びに来れるような場所作りに励んでいきたいです。

移住後の本音

 「理想と現実は全然違いますっ!」と祐保さん。自然環境の中で自家製野菜を食べ、丁寧な暮らし、みんながいいなあと思うような暮らしをするのが理想でした。子供が生まれる前はハーブガーデンや野草つみ、薪で炊事や風呂焚きをしていました。

 子どもが生まれてからは日常生活が激変!その為日々赤ちゃんのお世話に追われ、薪で火をつける間もないほど忙しく、丁寧な暮らしが実現困難に…。やりたいことは沢山あるのにそれができないことから感じるストレスも一時期ありましたが、「出来ない事は出来ない!」と開き直り、それを仲間と共感し、今できること・楽しい事に焦点をおいて仲間と田舎暮らしを楽しんでいます。

すまいの住み心地

 すまい探しはかなり難航しました。はじめは古民家を改修して暮らそうと家探し。空き家はたくさん紹介されましたが、自分たちが住みたいと思う物件に出会わず…。また滞在していた施設は1年しか賃貸できないというのもあり、期間内ですまいを探さなくてはいけないというプレッシャーが大きかったようです。

 探し始めてから1年後、ある地域の方とのご縁がありセルフビルドで小屋を建てるとこができました。設計から工事までを家族総出で建てたという事もあり、とても思い出深い家に。まだ完成はしておらず不便さもあるけど、これからもセルフビルドを続け自分たちにあったすまいを完成させるのが楽しみです。

きみので暮らそ。